妊娠の兆候・症状、妊娠初期から出産までに知っておきたいこと。
「妊娠・出産」のここカラダ〜はじめての妊娠でも大丈夫。出産までに知っておきたいことAtoZ
 

妊娠・出産に役立つコラム

07.05.17 更新

安全で快適な出産方法は?「無痛分娩」あれこれ

日本では「おなかを痛めてこそ、わが子」という考え方が根強く、無痛分娩はタブー扱いされていました。しかし最近は高齢出産、ハイリスク出産を背景に「痛み」のない快適な分娩を選ぶ方が増えています。

アメリカでは約8割が「無痛分娩」を選択します

国立成育医療センター麻酔科の角倉弘行先生によると、欧米では妊産婦の6〜8割が無痛分娩を選択するそうです。特にアメリカでは女性の社会進出を背景に徐々に社会に浸透し、ごく当たり前に硬膜外麻酔やその他の方法による無痛分娩が行われています。
「過度の痛みやストレスは血管の収縮を招き、子宮血流量の低下から酸素供給不足を引き起こします。つまり、胎児が酸素不足になりやすいのです」(角倉先生)。
高齢出産や子宮筋腫合併などによるハイリスク出産では、個人差はあるものの通常の出産に比較して痛みが強くなりがちです。そのため日本でも母体や胎児への影響に配慮して最初から無痛分娩を選択するケースが増えてきました。

薬を使う無痛分娩、薬を使わない無痛分娩

無痛分娩と聞くとどうしても「麻酔」の2文字が浮かんできますが、今どきの「無痛分娩」は多種多様。薬を使わない代替医療による方法もあります。 まずは無痛分娩の種類をみてみましょう。

薬を用いる方法
1. 全身麻酔による方法
・吸入、筋肉内注射など
2.   局所麻酔による方法
・硬膜外麻酔など
薬を用いない方法(代替医療)
1.   心理学的方法
・ラマーズ法、ブラッドリー法、分娩サポート法、催眠療法など
2.   生理学的方法
・鍼療法、水中分娩、バースボールなど

薬を使わない無痛分娩では、ラマーズ法やブラッドリー法のように独特の呼吸法を行いながら、パートナーと協力することで緊張を解きほぐす方法が好まれています。ただし、痛みの程度によっては途中から薬を使うこともあるようです。

薬を用いる方法の代表は硬膜外麻酔

薬を用いる方法では、硬膜外麻酔と呼ばれる局所麻酔が主流です。硬膜外麻酔は背中から硬膜外腔(こうまくがいくう)という細い隙間にカテーテルを入れ、麻酔薬を注入するもの。痛みの信号が脳に伝わるのを途中で麻痺させることで鎮痛効果を発揮します。メリットとしては、効果が素早いこと、運動神経には作用しないため自然にいきめること、などがあげられます。
デメリットとしては、分娩時間が長引くことや、吸引分娩が増えることなどが指摘されていますが、新生児の後遺症や帝王切開への移行率は自然分娩と変わらないことが証明されています。ただし、カテーテルが硬膜の内側に入ると呼吸困難を起こす場合があるため、熟練した麻酔医による手技が必要です。

硬膜外麻酔の方法
■硬膜外麻酔の方法

産科麻酔医が少ない日本の現状、でも…

「日本では、麻酔医が24時間体制で産婦さんに付き添える施設は50施設ほど。大病院で麻酔医が常駐していたとしても、夜間の出産や緊急のお産には対応しきれない施設が多いでしょう」 と角倉先生は指摘します。麻酔を用いた無痛分娩を希望する時は、麻酔医が24時間体制で対応できるかどうかを確認したうえで施設を選択する必要がありそうです。
一方最近の動きとして、産科医の不足を解消するために分娩施設の集約化が進められています。集約化がかなえば産科麻酔医が24時間常駐し、いつでも無痛分娩と帝王切開に対応できるようになるかもしれません。
出産は女性にとって重要な経験です。痛みを実感する出産も、にこにこリラックスしての出産も自分の望むとおりにしたいもの。一日も早く分娩スタイルを自由に選択できる日が来てほしいですね。
 【院内レポート】チーム医療で幸せな出産「国立成育医療センター」

◆お話を伺った先生◆角倉 弘行(すみくら・ひろゆき)さん


1989年、防衛医科大学校卒。2001年から1年間、Center for Sensory-Motor Interaction(デンマーク)へ留学。この間、Leuvain大学(ベルギー)にて産科麻酔の臨床研究を行う。2005年、聖マリアンナ医科大学麻酔科講師。2007年より現職

構成・文/井手ゆきえ

前のコラムへ
次のコラムへ
この記事に関連する診療科目
病院を探すときは以下の科目を選択してください。
 産婦人科 産科 婦人科
この記事の関連コンテンツ
症状チェック  不妊かも?度チェック
「妊娠・出産に役立つコラム」トップへもどる
ページの先頭へ
安全で快適な出産方法は?「無痛分娩」あれこれ